mission「じんましん」を防げ§3


チエちゃんは詳しく教えてくれた。
「あのね、基本的には『じんましん』が出ることを防ぐ特別な手段ってのはないの。『じんましん』を防ぐために出来ることなんて限られてるわ。『健康に過ごす』それだけなの。三食たべて、運動して、ぐっすり眠る。それしかないの。それが一番の『じんましん』予防なのよ。『なんだ、普通だな』って思うでしょ?でもね、そうことなの。それしかないの。『普通』なのよ」
チエちゃんは身振り手振りを交えて続ける。
「薬を飲んで防ぐ方法もあるのよ。あんまりお勧めしたくないけどね。例えばね、私の知り合いに夜眠れないほど『じんましん』に悩まされてる女の子がいるの。夜中に何度も何度も痒みで目が覚めてしまうくらい強い『じんましん』。睡眠不足で昼間はフラフラになっちゃうほど酷い状態。彼女は薬を飲んで『じんましん』を防いでいる。薬に頼って生きている。薬を飲むと『じんましん』は治まるそうよ。でもね、やっぱりソレッて自然じゃないわけ。考え方にもよるけれど、私はなるべく薬の力に頼りたくない。自然に治したいのよ」
チエちゃんは私をチラッと見上げながら言う。
「さっき話したをした限りではね、貴方が薬を飲まなきゃやってられないって酷い状態にあるとは思えないわ。風呂上がりに痒い。締め付けられた所が痒い。その程度だったら健康に過ごしていればある程度防げる範囲よ。分かるのよ、貴方の気持ち。初めて『じんましん』が出たのなら誰だって不安になるわ。『完全に治してしまいたい』って思うのは普通の人の反応だわよ。でもね、残念ながら完全に治すことは出来ないの。仲良くお付き合いしていくしかないの」
全て話し終わった後にチエちゃんは笑ってコウ付け加えた。
「ようこそ、『じんましん』の世界へ」
…なんだか嬉しくない。