Hキューブ§4


いまや、川べりにHキューブの姿はない。
Hキューブのあった場所はまるで何事もなかったかのように、
ただの人気のない川べり。
Hキューブは天に召されたのであろう。


そこで、思い付いた。
「我が家にあるはずのHな本をここに奉納してみてはどうか?」
中学生達が喜びそうな本を奉納すればいいんだろう?
「リサイクル」だよな♪
探してみれば我が家にも数冊あるんじゃねーかな?
どれ、探してみようじゃねーか。
意気揚々と我が家に戻った私であったが、
結果は意外なものだった。
なんと、我が家にはそれらしい本が「3冊」しかなかったのである。
「3冊」…?。
妙にリアルな数字だよな。
どうせなら見栄を張って「30冊」と書きたい。
それどころか
「100冊以上もあって笑っちまったぜ。全く俺ってヤツは救いようのない(笑)」
と書きたい。
そのほうが、きっとオモシロイ。
しかし、現実には「3冊」しかなかった。
いくら探しても我が家には「3冊」しかない。
それ以上は出てこない。
…なんか悔しい。
しかも10年近くも昔の本だ。
例えるなら「もはや現役を退いた本」だろう。
…ますます悔しい。
あれまぁ、これでは需要もねーなぁ。
なんだかトホホでガックリだ。
スマン、中学生たちよ。
昔の自分に申し訳ない気がしてならない。
私は泣く泣く奉納を諦めた。


Hキューブが天に召されたアノ日以降も、
私は相変わらず川べりを歩き続けている。
そして、私はあの場所で時々立ち止まってしまう。
Hキューブを思い出し、
捨て主の偉大さに思いを馳せてしまうのである。

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注意:川べりにH本を奉納捨ててはいけません。