めんどくさい女§4

ミサコさんがアノ部屋で何を見て、何を感じたかは、
今となっては私にはワカンナイ。
あの工場の部屋の隅でシクシク泣いていたミサコさんを見たあの日以来、
私は彼女には逢っていない。
ミサコさんが言っていたことは間違っていた。
工場は「処刑場」の跡地に建ってはいなかった。
工場は「肉切り場」の跡地に建っていた。
後で聞いてみたら、これは地元では有名な話しで
ジモティーなら皆知ってるコトだった。
「ミサコさんもどっかでソノ話しを聞きかじってきてさぁ、『なんか気味悪いなぁ』ってイメージが膨らんじゃってペラペラしゃべっちゃったんじゃねーかなぁ?」
当時の私はぼんやりとそんな風に考えた。


時は流れて現在。
ミサコさんのことなんてスッカリ忘れていた私。
そんな私の前にアル女性が現れた。
彼女は雰囲気たっぷりに、こうつぶやいた。
「・・・この部屋、何か感じませんか?」
ギョッとした。
ミサコアレルギーがぶりかえした私。
このセリフを聞いた瞬間、固まってしまった。
ミサコリターンズ。
またか。