視聴率貧乏神 13

「オマエは『ビンちゃん』の称号を受け入れるべきだ。それが現在の自分を受け入れることになるのだと思う」
私は黙ってエロ仙人の講釈を聞いていた。
エロ仙人はさらに続ける。
「大体称号一つで何を憤る必要がある?そんなもの取るに足らんことだ。俺を見ろ。『エロ仙人』だぞ。恐ろしく不名誉な称号だ。ソウ呼ばれていることを妹達が知ったらマジ泣くぞ。号泣(笑)親が知ったら勘当されてしかるべきだ。しかしな、『エロ仙人』、ソレは本当のことだ。名は体を表すというではないか?だったらソウ呼ばれることも受け入れなくてはいかん。男はそれだけの度量がなくてはいけない。ケツの穴の小さい男になってはいけない。そうだろう?」
エロ仙人はカラカラ笑いながら屈託なく話した。
そして、彼はいつのまにかソファに横になりグーグー眠ってしまった。
私は彼に毛布をかけてやり、部屋の電気を消した後、一人考えた。
普通の若者なら「エロ仙人」などと呼ばれればさぞ嫌がるものだろう。
しかしながら、彼はその名前で呼ばれることを受け入れている。
むしろ、ソウ呼ばれること自体面白がっているのだろう。
彼のケツの穴はきっとゾウさんのソレのようにデカイに違いない。
バニーガールやサンタやメイドの衣装を着たオネーチャンと遊ぶヤツは言うことも一味違う。
ありがたいお言葉なのかどーかはワカランが
たしかに的を得ているではないか。
「さすがに仙人だな」
私は暗闇の中、一人唸った。


朝になって起きてみればエロ仙人の姿はなかった。
ソファの上には置手紙が置いてある。
ハングオーバー。気分悪い。帰る。肉じゃが、ごちそうさん
イツ帰ったんだろうか?
彼はまるで煙のごとく消えてしまっていた。
「さすがに仙人だな」
私は朝日の中、また一人唸った。