視聴率貧乏神 12

私の部屋に上がりこんだエロ仙人は
実家からカッパらってきたウィスキーを
美味そうにチビチビやっている。
「来るなら先に連絡しろよなー!!」
私はキッチンから怒鳴りながら昼間作った肉じゃがを暖めた。
二人でソレをツツキながら仲良くウィスキーを頂いた。


美味いウィスキーのおかげで二人の酔いは進み
私達はあれやこれやと話を続けた。
そして、酔いも手伝って私はアノコトを話し出した。
どうやら自分は視聴率貧乏神であるようだ。
データがソレを裏付けている。
自分が視聴率貧乏神であることは認めるにはヤブサカではない。
しかし、その称号が気に入らないのだ。
「この『シティボーイ』を捕まえて『ビンちゃん』とはドーいうことだ?」
黙って聞いていた仙人はウィスキーを一口煽ってコウ言った。
「オマエは『ビンちゃん』の称号を受け入れるべきだ」
そして、続けた。
「前から思っていたがな、どうもオマエは自分を自分の理想に近づけ過ぎようというキライがある。『己の美化』と言っていいだろう。しかし、現在の自分からかけ離れた夢や理想を現在の自分に重ね合わせ過ぎることは危険なことだ。今の自分を見失ってしまう。人は誰しもが今の自分に不満を抱いて生きている。今の自分が不甲斐ないがゆえに夢や理想を胸に抱きソレに近づこうとする。その行為自体は正しい。しかし、その過程において、今の自分を見失ってはいけない。現在の自分と理想の自分の両方を正面から見つめる必要がある。それが出来なければ自分は理想とは違うあらぬ方向に進んでしまう。気付いた時には『ここはドコ?』って途方に暮れるコトになる。車が正しい方向に進むためには片輪ではいけない。両輪が必要だいうことさ」
さらに、エロ仙人は続ける。