視聴率貧乏神 11

来客は笑顔が爽やかな「エロ仙人」だった。
この友人は仲間内で「エロ仙人」と呼ばれていた。
なぜ、ソウ呼ばれていたのか?
彼はピンク系のお店に精通していたからなのである。


彼は学生生活そっちのけで毎日バイトに明け暮れていた。
もちろん授業になんぞ出るわけがない。
彼は朝から晩まで八面六臂の活躍で寝る間も惜しんでバイトに没頭していた。
なぜそこまで金が必要だったのか?
ピンク系のお店に通うためである。
彼はピンク系のお店が大好きなのである。
彼の生活は全てピンク系のお店のオネーさんに会いに行くためにあったと言って良いだろう。
見上げた猥褻根性の持ち主なのである。
ピンク原理主義者であり、
ピンクジャンキーであり、
ピンクドランカーなのだ。
若い男子の健全たる欲求に素直なカワイイ男だと思ってもらえれば良い。
彼は、実家から仕送りがあった日には、そのお金を握り締め、
ピンク系のお店に行くという武勇伝の持ち主であった。
もはやソコまで行くと私には善悪の判断はつきかねたが、
彼が極めて親不孝な男だということは理解できた。
普通の若い男なら、そこまでしてピンク系のお店に入り浸ることに対して
罪悪感を持つ。
しかし、彼には罪悪感など全くなかった。
彼にとって、ソレは全くの自然な行為であったのである。
私には彼のように振舞う勇気はなかった。
むしろソノ勇気が欲しいぐらいだった。
「負い目」も「気負い」もなく、
彼はまるで食事や睡眠のごとく当たり前にピンク系のお店に通い詰めた。
己の欲望に忠実なソノ様は感心してしまうほどに泰然自若。
彼は世間の価値判断なぞ届かない全く違う世界に生きているようだった。
まるで悟りを開いたかのよう。
彼がピンク系のお店に入り浸っていることは
仲間内では広く知れ渡っており、
その悟りを開いたかのような泰然自若な姿と相まって
彼は仲間から敬意と愛情を込めて「エロ仙人」と呼ばれていたのだった。


ちなみに、現在の彼は皆が知っている大手の銀行に勤めている。
お堅い職業なのである。
「今度結婚するんだ」コナイダ電話で本人からソウ聞いた。
エロ仙人に、このブログに登場する了解はとってはいない。
すまん、勝手に登場させてしまった我が罪を許してくれ。