視聴率貧乏神 6

私は愕然とした。
調べれば調べるほど明らかになる事実。
そして、現実は私の予想より遥かに重かったのである。
当時の私はヒヨッコであり、打たれ弱かった。
当然というべきか、私が見る番組は、やはり視聴率が低いのである。
とういうか、視聴率が低すぎて調べようがないくらいなのである。
私が好む番組は「世の中に存在というものが認知されていないのではないか?」と疑われるほどに人気がなかった。
視聴率ベスト10なるものを見ても
私が見ている番組は「NHKのニュース7」だけ。
後の番組は名前は知っているものの、全く見たことがない。
「これほど視聴率の低い番組ばかり見ていたら、ウチのテレビはさぞ辛い想いをしたに違いない。すまなかったテレビ」
私は我家のテレビに申し訳ない気持ちでいっぱいになり土下座して謝ろうかとさえ思った。
調べれば調べるほどに私は絶望し、ガックリし、やる気をなくしていった。
だって私の毎週楽しみにしている番組はミナ一様に視聴率が低すぎるんだもの。
私はソウソウに諦め、ふてくされたようにゴロリと横になり、アパートの低い天井を見つめた。
「オマエは世間とは異次元の世界の住人だ」
友人の予言にも似た言葉が頭の中をグルグル回る。
私の心の中で勢い良く燃え盛っていた黒い炎は、
目の前のデータに冷や水を浴びせられ
いつのまにかチロチロと下火になっていった。
いや、むしろ消えてしまった。
「俺はビンちゃんだな」
私は現実を受け入れることにした。