視聴率貧乏神 4

「オマエは『視聴率貧乏神』なんだ」
まるで烙印を押されたよう。
私が見るから視聴率が下がるだと?
私が画面を通して呪いをかけるだと?
何を言うのだ、この阿呆どもは?
私と視聴率の悪さに何の因果関係が認められるというのだ?????!!?!?!
酒の酔いも手伝って、私は泣きそうになり必死に抗議した。
「俺か!?俺が原因だと!?俺が見た番組は視聴率が下がるとでも言うのか!?・・・『将棋の時間』の視聴率が驚くほどの低空飛行ぶりを発揮している原因は私だと?んなアホな。そんなワケあるか。画面を通して呪いをかけるだと?そんなことが出来るとすればソイツは神だ!!!いや、神以外にそのような所業は無理だ!!!!」
必死で抵抗する私をよそに、友人は上から目線でニヤニヤ言う。
「いやさ、だから言ってるじゃん。人にはソンナこと出来ねーよ。だから、神なんだよ。わかる?オマエは神だ。ただし、貧乏の方だけどね」
酔った友人達は調子付き「♪貧乏神♪」の大合唱。
「生き神様だ」
「神が現世に降臨されたのだ」
「オマエをウチの近所の神社に奉りたいたい」
「いや、奉ってはダメだ。貧乏になっちまうぞ」
私はクラクラした眩暈を感じ、その場にへたり込んでしまった。
友人達の爆笑が続く中、しまいには友人数人が「視聴率貧乏神音頭」というわけの分からない歌を披露する始末。
私は盛り上がる酒宴の喧騒の中一人呟いた。
「コイツラに眼にモノ見せてくれるわ・・・」
すでに、私の堪忍袋の緒はブチ切れてしまい、
さきほどからブスブスときな臭い匂いを発していた私の心の中の黒い何かは
今やメラメラと炎を上げ燃え盛っていた。