続・ミラクル

さすがに瞬間接着剤。
眼の周りに飛び散った接着剤はあっという間に固まってしまった。
睫毛、まぶたはツララのような状態に。
そして、眼の中にはゴロゴロする違和感。
突き刺すような痛み。
白眼の部分があっという間に真っ赤に充血していく。
眼を開けていられない程の痛み。
しかし、眼を閉じても痛い。
まさにエンドレス激痛地獄。
「おい、病院や!!!!病院に電話せー!!!!」
オロオロと病院に電話するカーちゃん。
意識の遠くでカーちゃんが電話口で話す声が聞こえる。
「ウチの子どもの眼に接着剤が・・・」
おい、「子ども」って。
俺は確かにカーちゃんの「子ども」だが、30オーバーだ。
ドウ考えても「子ども」と呼ばれる年齢ではない。
しかし、モウ突っ込む元気もない。


gw中、緊急の病院しかやってない。
車で向かうにもユウに30分はかかる。
玄関で病院へ向かう仕度をする俺と兄貴。
その背後からカーちゃんが居間で話す声が聞こえる。
「アノ子、オーバーなんやて。どーせ、心配いらんて。」
・・・親に殺意に近い感情を抱いたのは思春期以来だった。
しかし、モウ突っ込む元気もない。


痛みにもだえる俺に兄貴のお嫁さんが近づいてきた。
手には携帯カメラ。
「写真撮ろうよ♪」
え?写真?この状況で写真?なんで???
しかし、抵抗する元気もない。

その写真がコチラ。
自分で出来るだけ接着剤を取り除いた後。
どうやら眼の中で接着剤が固まってしまっているようだ。
写真を撮った後、兄貴は笑顔で言う。
「この写真、ブログに載せたらエーやんか。なぁ?」
この人達、絶対このミラクルを楽しんでる・・・。
「みんな訴えてやる。弁護士を呼べ。」
俺が心の中でソウつぶやいたのは言うまでもない。