なんちゃって写真講座


二杯目のビールを飲みながら先生は言う。
「始めのウチはドンドン撮れば良いんだけどね。出来れば『目的』を持って撮って欲しいんだよな。」
−目的?
「そう、『目的』さ。」
「風景、人物、動物、どんな被写体を撮ろうとも、全ての写真には『目的』があるの。」
−目的ねぇ。
「写真の『目的』が被写体を決めるんだよ。」
「例えば、測量士の皆さんが建築現場で写真を撮ってるのみたことあるだろ?ああいうのは『きっちり仕事してますよ』って証拠を残すために撮っているわけだ。刑事事件の犯行現場を写真に収める。コレも証拠保全が目的だわな。」
「君のブログの写真だって『自分の見聞きしたものをミンナに知って欲しい』っていう『目的』があるわけだろ?」
「『目的』が決まれば撮る写真だって、自然その『目的』に沿ったものになる。」
「『目的』を持つと写真はマタ違ったものになるのさ。撮りたいものだって『目的』によって変わってくるだろう。」
「写真の『目的』が被写体を決める。わかった?」
−なるほど。


「次に、同じ被写体を撮ったとしても『目的』が違えば出来上がる写真だって違ってくるんだわ」
「分かりやすい例えは『ヌード』だね。」
「三人で集まって『ヌード』を撮ると仮定しよう。三人で一人の女性を撮るわけだ。でも三人にはソレゾレ違う目的を与える。ある人には『人体の筋肉のつき方を医学的に記録しなさい』、ある人には『写真を見る男性の欲望を刺激しなさい』、ある人には『女性を芸術的に表現しなさい』」
「そうするとドウなる?」
「三人の出来上がってきた写真は全く違うものになる。コレは当然だわな。」
「こんな風にね、同じ被写体を撮ったとしても『目的』が違えば出来上がる写真だって違ってくるわけだ。言い換えれば『目的』が写真の撮り方を決めると言っていいだろう。分かる?」
−おー、分かるぞ。
「オマエは優秀な生徒だね。」
「『目的』があるだけで写真は変わる。コレは覚えておきなさい。」 
「モウ一杯頂こうか」
−先生飲みすぎじゃないの?大丈夫?顔赤いぜ。