婆さん


実家に電話したら80過ぎた婆さんが出た。
「今年の正月は伊勢で過ごすさかいに、紅白歌合戦を一緒に見ようや。婆さんの好きな『氷川きよし』を一緒に見んとなぁ」
そう伝えたら苦笑いが返ってきた。
「あれ?『氷川きよし』やで?カワイイやんか?」
もう一度苦笑いが返ってきて、婆さんはコウ続けた。
「あんたなぁ、もう『氷川きよし』は古いんやで。今はな『石川遼』君や。アノ子、爽やかでエーでぇ。ワシ、寮君をテレビで見るんが好きなんや」
・・・婆さん若いなぁ。
「ほんなら『ジェロ』見ようや。わし『ジェロ』好きなんやでぇ」
そう言うと
「『ジェロ』?誰や?知らん」
だって。
80過ぎて「遼君が好き」と言えるその貪欲さはステキ。
婆さんよ、世間への興味を失っていないことに好感を抱いたぜ。
好奇心は生きる秘訣なんや。