めんどくさい女


学生時代、ダンボールの組み立てという
一ヶ月の短期のバイトをしたことがる。
工場の隅でひたすらダンボールを組み立てるという地味な作業。
モクモクとこなす単純作業、のはずだった。
そこで知り合ったのは年上のミサコさん(仮名)
二人一組で作業して一週間ほど。
ミサコさんはある告白をする。
「私さぁ、見えちゃうのよねぇ」
えっ?何をっすか?
「霊を」
ミサコさん、それって笑うトコっすか?


彼女は霊感が強いらしい。
それ以来、彼女はバイト中に自分の特別な能力をアピールし出した。
「・・・コノ部屋さぁ、何か感じない?やだぁ、ヤバイ。私、入れないわ。ホラ、アノ隅見てよ。何も感じない?・・・寒いわ、私、すごく寒いの」
そんなんでダンボールなぞ組み立てられる訳がねー。
一日のノルマを達成出来るわけがねー。
バイト上がり、私達二人は工場長にイツも渋い顔をされた。
それでも、彼女は毎日バイトにやってきた。
「なんかね、この工場って死刑場の跡地に立ってるんだって。私って、そういうの感じちゃうのよねー」
おめーよぉ、工場長が毎日俺らの作業手伝ってくれてんのはよー、一体誰のせいだと思ってやがんだよー
私のイライラメーターは振り切れ直前まで来ていた。